処方箋とは何が書いてあるの?法に基づいてわかりやすく解説

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この記事は、医師が発行するこの公式な文書である処方箋の役割や、薬局での薬の受け取りの際の重要性、そしてそれに関連する法的な側面まで、処方箋に関する全ての疑問を解消する内容となっています。

記事のポイント
  • 処方箋の基本的な役割と意義
  • 処方箋に記載される主要な情報とその詳細
  • 法律に基づく処方箋の作成のルールや制約
  • 薬の受け取りや使用に関する注意点やアドバイス
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目次

処方箋とは?わかりやすく説明

処方箋には大きく分けて2種類あります。

一つは院内処方箋で病院内で使用される処方箋で、もう一つが院外処方箋です。

薬剤師社長

一般的には処方箋とは院外処方箋のことを指します。
これから院外処方箋について解説していきます。

処方箋の基本的な役割

処方箋は、医師が患者さんに対して治療に必要な薬を指示するための書類として広く知られています。しかしそこには深い意味と役割が存在します。

まず、処方箋は医師と薬剤師の間での役割分担を可能にします。

医師は患者さんの病状を診断し、適切な治療薬を処方。一方、薬剤師はその処方箋の内容を基に調剤を行い、患者さんへの服薬指導を実施します。

このような役割分担を「医薬分業」と呼びます。

医師は治療、薬剤師が調剤することを医薬分業と言います

処方箋には、患者さんの情報、薬の情報、病院・診療所の情報、発行年月日・使用期間、医師の署名などが記載されています。これにより、薬剤師は患者さんの状態や背景を理解し、より適切な薬物治療のサポートを行うことができます。

また、処方箋は薬を安全に使用するための重要なツールとしての役割も果たしています。

例えば、薬剤師が処方箋の内容に疑問を持った場合、医師に確認を取ることができます。これにより、医薬品に関するリスクを最大限に回避し、患者さんの安全を確保することができます。

薬剤師が医師に処方内容を確認することを疑義照会と言います

さらに、処方箋が存在することで、患者は自身の治療に関する情報を文書として持つことができ、自身の健康状態や治療の進行を把握する手助けとなります。

総じて、処方箋は単なる「薬の指示書」という以上の、医療の質を高め、患者さんの安全を確保するための不可欠なツールとしての役割を果たしています。

処方箋がもたらす患者のメリット

処方箋は、医師が患者さんに対して治療に必要な薬を指示するための書類としての役割を果たすだけでなく、患者さんにとっても多くのメリットがあります。

まず、処方箋を薬剤師に薬剤師に見てもらう事により処方内容をチェックすることができます。これは、医師の処方内容が適切かどうか、また他に飲み合わせや重複がないかといったチェック機能になります。

また、処方箋は薬の過剰摂取や誤用を防ぐための安全策としても機能します。

さらに、患者さんは薬の効果や副作用についての情報を得ることができます。

薬剤師は処方箋を基に薬の説明や服薬指導を行い、患者の疑問や不安を解消する役割を果たしています。

総じて、処方箋は患者にとって、治療の質を向上させ、安全性を確保するための重要なツールとしての役割を果たしています。

処方箋の正確な定義とは

処方箋は、医師が患者に対して特定の薬物療法を指示するための公式な書類です。この書類は、医療の質を確保し、患者の安全を守るための重要な役割を果たしています。

具体的には、処方箋には患者の氏名や生年月日、保険情報などの基本情報、処方薬、量、使用方法、服用期間などが詳細に記載されています。薬剤師は正確な薬物情報を提供し、患者さんに対して適切な服薬指導を行うことができます。

処方箋見本写真
薬剤師社長

これは実際の私の処方箋写真です
プライバシーの塊みたいなもんです

認定指導薬剤師

記載事項を見ると、氏名・生年月日・保険情報使用期間・処方した医療機関情報・処方医・処方内容が記載してあることが分かります

  処方箋には病名や症状、治療の経過などの情報は記載されていません

医療現場では、処方箋は患者さん一人一人に合わせた最適な治療を提供するためのツールとして活用されています。

また、薬の誤用や過剰摂取を防ぐための安全策としての側面も持っています。

適切な処方箋のもとで薬を使用することで、患者さんは薬の効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。

総じて、処方箋は医師と患者、そして薬剤師との間のコミュニケーションを円滑にし、医療の質と安全性を高めるための不可欠なツールと言えるでしょう。

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処方箋の詳細をわかりやすく解説

処方箋のもらい方

処方箋を受け取るための手順は、一般的に以下のように進行します。

まず、医師の診察を受けることが必須となります。この際、医師は患者の症状や健康状態を詳細に診断し、治療の方針を決定します。

診断の結果、薬物療法が必要と判断された場合、医師は適切な薬を選択し、その使用方法や量を処方箋に記載します。

処方箋の発行には、医師の資格や診療所・病院の許可が必要です。また、処方箋には有効期限が設定されており、通常は発行日から原則4日間とされています。この期間内に薬局で薬を受け取る必要があります。ただし別途指示がある場合はこの限りではありません。

処方箋使用期間写真

特に日にちに記載がなければ処方日を含め4日間が有効期間(見本写真では6/30〜7/3が有効期間)

処方箋の使用期間に特に指示があれば(写真右側)指示した期間までが使用期間となります

料金に関しては、診察料や処方料が主な費用となります。

薬代は、処方される薬の種類や量、ブランドによって大きく変動します。例えば、ジェネリック医薬品の場合、先発品の医薬品よりも価格が低く設定されていることが多いです。

先発医薬品とは研究開発をしたオリジナル品で特許権を持ちます。一方特許権が消滅すると膨大な研究開発費をかけずに同一成分の医薬品を特許料を支払うことなく製造販売することが可能です。これをジェネリック医薬品と呼んでいます。

また、国や自治体による補助制度が存在する場合もあり、所得や年齢に応じて薬代が一部免除されることもあります。具体的な補助内容や対象者は、各自治体のホームページなどで確認することができます。

薬剤師社長

医療の負担金は国民それぞれに課されており、所得状況や生活状況により公費で賄われたり市町村で負担されたりしています

管理薬剤師

日本の健康保険制度は素晴らしい。誰でも安心して平等に医療の恩恵を受けることができるからね

法律と医師法に基づく内容

処方箋は、医師によって交付される重要な書類であり、医師法や薬剤師法に基づいて厳格に管理されています。具体的には、医師法施行規則第21条により、処方箋に記載する内容が明確に定義されています。

これには、患者の氏名、年齢、薬の名称、分量、用法、用量、病院や診療所の情報、発行年月日、使用期間、医師の記名・署名・押印のいずれかが含まれます。特に、処方箋の有効期限は、発行日を含めて4日間とされており、特に定めなくこの期間を過ぎると処方箋は無効となります。

医師法施行規則 第二十一条 

医師は、患者に交付する処方 せん に、患者の氏名、年齢、薬名、分量、用法、用量、発行の年月日、使用期間及び病院若しくは診療所の名称及び所在地又は医師の住所を記載し、記名押印又は署名しなければならない。

厚生労働省

また、処方箋には患者の診断名に関する情報は通常記載されていませんが、薬剤師は患者の状態や治療の背景を理解するために、必要に応じて詳細な確認を行うことがあります。

このようなプロセスを通じて、患者の安全とプライバシーの保護が確保されています。

さらに、処方箋の発行は、医師、歯科医師、および獣医師のみが行うことができます。

薬剤師に処方権はありません

これは、専門的な知識と経験を持つ医療従事者が、適切な治療を提供するための重要な手段として、処方箋の発行を行っていることを示しています。

以上のように、処方箋は医療の質と患者の安全を確保するための重要なツールであり、法律に基づいて厳格に管理されていることが理解されるでしょう。

処方箋の料金の理解

処方箋を受け取る際の料金(この場合医療機関の一部負担金)は、多くの要因によって変動します。まず、医療機関の種類や地域、そして患者の症状や状態によって、診察料が異なることがあります。

また、薬の種類や量、そして製薬会社のブランドによっても、薬代(この場合薬局での一部負担金)は大きく変動します。一般的な風邪薬や解熱鎮痛薬の場合と特定の疾患や難病の治療に使用される特効薬や新薬の場合とでは薬代は当然異なります。

薬剤師社長

私が経験した処方箋で一番の高額は900万円でした。
これは難病で希少病薬として高額な薬価が設定されているからで、患者さんは公費の対象で負担金は発生しませんでした。

さらに、医療保険の適用範囲や自己負担率、患者の年齢や所得などによって、最終的な支払い額が変わることも考慮する必要があります。例えば、高齢者や児童、所得が一定額以下の方は、医療費の一部が免除される制度が存在します。

3年目薬剤師

またしょくに応じて高額医療の制度もあり、1ヶ月の医療費には上限が設けられています。

このように、処方箋の料金は多岐にわたる要因によって決まるため、具体的な金額を知るには、医療機関や薬局で直接確認することが最も確実です。

処方箋薬とは

処方箋薬は、その名の通り医師の処方箋が必要となる薬品のことを指します。これらの薬品は、特定の疾患や症状の治療に特化しており、一般的には医薬品の中でも高い効果を持つとされています。例えば、高血圧や糖尿病、心臓病などの慢性的な疾患の治療に用いられる薬や、がんの治療に用いられる抗がん剤などがこれに該当します。

市販薬との大きな違いは、処方箋薬は医師の診断と指示のもとに使用されることです。これにより、患者さんの症状や体質、他の服用している薬との相互作用などを考慮した上で、最も適切な薬を選択することができます。

また、処方箋薬は一般的には市販薬よりも強力な効果を持つため、適切な用量や使用方法が非常に重要となります。

しかし、その効果の強さゆえに、副作用のリスクも高まることがあります。

このように、処方箋薬はその効果とリスクを十分に理解し、医師や薬剤師の指示に従って使用することが求められます。

処方箋の記載内容のポイント

処方箋は、医師が患者に対して特定の薬を処方する際の公式な書類として使用されます。この書類は、薬局での調剤や薬の提供の際に必要不可欠となります。以下は、処方箋の主要なポイントです。

  1. 個人情報の正確性: 患者の氏名、住所、生年月日などの基本情報は、誤りのないよう正確に記載することが求められます。これは、誤った情報が記載されると、薬の誤投与や調剤ミスの原因となる可能性があるためです。
  2. 薬の詳細: 薬の名前、量、使用方法、服用期間など、薬に関する詳細情報を明確に記載することが必要です。特に、同じ成分を持つ薬が複数存在する場合、正確な薬名の記載は非常に重要です。
  3. 法律の遵守: 処方箋の発行や薬の処方には、医師法や薬機法などの関連法律が存在します。医師は、これらの法律やガイドラインを厳格に遵守しながら、処方箋を発行する必要があります。例えば、一定の薬には処方できる最大量や期間が定められていることがあり、これを超えると問題が生じる可能性があります。
薬剤師社長

事件や事故の原因になりうる薬には処方日数に制限が設けられています。

以上のポイントを踏まえ、医師は患者の健康と安全を最優先に考えながら、適切な処方箋を発行する責任があります。

処方箋は保険薬局ならどこでも受け取り可能

処方箋を持参すれば、指定された薬局のみならず、全国の多くの薬局で医薬品を受け取ることが可能となります。ただし全ての薬局で処方箋を応需できるわけではなく、保険薬局である必要があります。

保険薬局えあるか否かは、薬局の看板や店頭に保険薬局と明記されています。保険薬局でない薬局は一般薬のみの販売が可能で処方箋を扱うことはできません。

処方箋がどこでも受け取れるメリット

  1. 地理的利便性: 自宅や職場、または移動先に近い薬局で医薬品を受け取ることができるため、通院や移動の際のストレスや手間が大幅に軽減されます。
  2. 時間的メリット: 医療機関からかかりつけの薬局にFAXを送付するなど、あらかじめ調剤の準備ができていれば待ち時間を短縮することも可能です。

その一方で、全ての薬局が同じ医薬品を取り扱っているわけではないため、特定の医薬品を求める際は、事前に薬局の在庫や取り扱い情報を確認することが肝心です。

処方箋の期限と有効性

処方箋は、医師が患者の症状や診断に基づいて発行する公式な文書であり、特定の薬を患者に提供するための指示として薬局に提出されます。一般的に、処方箋の有効期限は発行日から4日間と定められています。

この4日間という期間は、患者が迅速に適切な治療を受けることを確保するためのものです。有効期限内に薬を受け取らなかった場合、薬の効果や治療の進行に影響が出る可能性があります。

その一方で、期限を過ぎた後も薬を受け取ること自体は可能ですが、その際には再度医師の診察や診断が必要となります。さらに、処方箋の有効期限は、薬の種類や治療の内容、患者の状態などによって変動することがあります。

処方箋を受け取った際には、その有効期限や薬の詳細をしっかりと確認し、適切な期間内に薬を受け取ることが求められます。

リフィル処方箋って何?

リフィル処方箋は、2022年4月に日本で導入された新しい処方箋制度です。

この制度は、症状が安定している患者さんに対して、医師がリフィルによる処方が可能と判断した場合に発行される特別な処方箋で、最大3回まで繰り返し使用することができます。具体的には、医師が繰り返し使用できる回数(上限3回)を定めた上で、リフィル処方箋を発行します。

認定指導薬剤師

リフィルとは繰り返し使えるって意味で、何回繰り返し使用可能なのかが処方箋に記載されています。

10年目薬剤師

通常処方箋は薬と引き換えに薬局に渡しますが、リフィル処方箋は返却され、最後の使用時に薬局に提出し保管されます。

このリフィル処方箋の最大のメリットは、症状が安定している患者さんが、再度医師の診察を受けることなく、薬局で薬を受け取ることができる点です。

これにより、通院のための移動時間や待ち時間、さらには再診料や処方箋料などの経済的な負担が大幅に軽減されます。また、通院に伴う感染リスク(例:新型コロナウイルス感染リスク)も低減することが期待されます。

しかし、リフィル処方箋を使用する際には注意点もあります。次回調剤予定日が決まっておりこの日を含まない前後7日以内に薬局にて薬を受け取る必要があります。

初回については、通常の処方箋と同様、発行日を含めて原則4日間が使用期限となります。この期間を過ぎると、薬の受け取りができなくなるため、注意が必要です。

電子処方箋の進化と利点

近年、医療のデジタル化が進行中で、その中心に位置するのが電子処方箋です。電子処方箋は、従来の紙の処方箋をデジタルデータ化し、データとして扱う新しい形式の処方箋です。

このシステムの導入により、患者さんの同意のもと、全国の医療機関や薬局で過去3年間の薬剤情報や直近の処方・調剤結果を参照することが可能となりました。

電子処方箋の主なメリットとして以下の点が挙げられます:

  1. 情報の一元管理:複数の医療機関や薬局での薬剤情報を一元的に管理し、重複投薬や併用禁忌の確認が容易になります。
  2. 情報連携の強化:医療機関と薬局間での情報連携がスムーズになり、患者にとってより適切な薬学的管理が実現します。
  3. 患者の健康管理:患者自身が薬剤情報を確認し、服薬情報の履歴を管理することで、健康増進に寄与します。
  4. 災害時の対応:災害などの非常時でも、電子処方箋の情報を基に継続的な診療や処方が可能となり、患者の安全を確保します。
薬剤師社長

薬だけでなく通院記録や健診データなども医療機関で共有されます。

しかし、電子処方箋の導入には、専用のシステムや機器の導入が必要であり、初期投資が必要となリますが、薬局はシステム導入が義務化されました。

まとめ

  • 処方箋は医師が患者に必要な治療薬を指示する公式な文書
  • 医師と薬剤師の間での役割分担を可能にする
  • 患者の情報、薬の情報、病院・診療所の情報などが記載される
  • 薬を安全に使用するための重要なツール
  • 患者は自身の治療に関する情報を文書として持つことができる
  • 処方箋には大きく分けて院内処方箋と院外処方箋の2種類がある
  • 処方箋の有効期限は通常、発行日から原則4日間
  • 薬の過剰摂取や誤用を防ぐための安全策として機能
  • 処方箋薬は特定の疾患や症状の治療に特化した薬品
  • 医療の質を高め、患者の安全を確保するための不可欠なツール
  • 処方箋の料金は医療機関の種類、薬の種類や量によって変動する
  • 処方箋は法律に基づいて厳格に管理されている
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