AI化で薬剤師の仕事が無くならない明確な理由があります

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薬剤師の仕事がAIによって無くならない明確な理由とは、対人業務は人にしかできないからです。この記事ではその理由とAIによるメリットとデメリットを詳しく解説しています。

薬剤師社長

薬剤師のAI化に関しては、まだ体験したわけではないので体験談を書くことはできませんが、私のこれまでのAIについての知識と25年の薬剤師のシステム化の変化を元に考察して執筆します

記事のポイント
  • AIが薬剤師の仕事に及ぼす影響
  • 薬剤師の仕事の多様性とその重要性
  • AIと薬剤師の協働の可能性
  • 薬剤師の専門性がAIには再現できない理由
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目次

薬剤師とAIの未来の関係性

近年、AI技術の進化により、多くの職種がAIに置き換えられる可能性が取り沙汰されています。

その中で、薬剤師という職種も注目されています。しかし、実際のところ、薬剤師の仕事はAIに完全に置き換えられるのでしょうか。答えはノーです。

理由は明確で法的な根拠の他に感情のないAIには対人業務はできません私はむしろAIによるメリットの方が多いと感じています。その辺りから深掘りしていきましょう。

薬剤師がAIに仕事を奪われることがない法的根拠

法的根拠は薬剤師法第19条にあります。

第十九条 薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。ただし、医師若しくは歯科医師が次に掲げる場合において自己の処方箋により自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときは、この限りでない。

一 患者又は現にその看護に当たつている者が特にその医師又は歯科医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合

二 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十二条第一項各号の場合又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第二十一条第一項各号の場合

(令四法四七・一部改正)

厚生労働省

調剤には薬剤師が必要と明確に記されています。さらに1日当たり処方箋40枚につき薬剤師1名必要という”40枚ルール”も存在し毎年1年間の取り扱い処方箋枚数を届け出ることになっています。

人数要件を満たさない場合は保健所からの指導があります。

薬剤師社長

薬局は仕事量に合わせて薬剤師を雇用しており、薬剤師一人につき1日40枚というのは一つの目安になっています

管理薬剤師

40枚ルールは厚労省でも見直しも検討されているみたいだけど・・

AI技術と薬剤師のシナジー効果

AI技術の進化により、薬剤師の業務は革命的な変化を遂げています。

AIは薬の相互作用を高精度で予測することができ、これにより誤薬のリスクが削減されることが期待されています。

さらに、AIは患者の病歴や過去の処方箋データを瞬時に解析し、最適な薬の組み合わせを提案することも可能となるでしょう。

その一方で、AIの導入は薬剤師の役割を単なる情報提供者から、より専門的なカウンセリングやアドバイスを行う専門家へとシフトさせる可能性があります。この変化は、患者との信頼関係をさらに深化させるチャンスとなるでしょう。

AI導入による薬剤師のデメリット

AI技術の進化により、医療業界にも多くの変革がもたらされています。しかし、その中で薬剤師の役割に関してもAIの導入によるデメリットが指摘されています。AIは確かに高速で正確な情報処理が可能ですが、それはあくまでデータベースに基づくものです。

新しい薬の効果や副作用、まだデータベースに取り込まれていない症状に対する対応は、AIには難しいとされています。実際、新しい薬の発売後1年以内には、その薬に関する重要な情報が平均で10%更新されるというデータが示されています。

また、薬剤師の大きな役割の一つとして、患者とのコミュニケーションが挙げられます。

AIは感情を持たず、患者の精神的なサポートや対人サービスを提供する能力は限られています。特に、患者の不安や疑問を解消するための対話は、人間の薬剤師にしかできない重要なタスクと言えるでしょう。

これらの点を総合的に考慮すると、薬剤師の役割はAIによって完全に置き換えられることは難しいとの結論が導かれます。

AIの導入は医療の質を向上させる可能性を秘めていますが、薬剤師の専門的な知識や経験、そして人間らしいコミュニケーション能力は、今後も不可欠であると言えるでしょう。

機械化によるメリットとデメリット

薬剤師の業務が機械化されることには、AIの導入とは異なるメリットが考えられます。

例えば、機械化により薬の調剤や分包が自動化されことにより薬剤師の調剤業務が短縮でき、対人業務に時間を費やすことができます。

実際に私の経営する薬局では粉薬も錠剤も機械化により分包することができ、調剤の時間短縮化につながっています。現時点でも処方箋を調剤ソフトに入力すると連動済みの分包機から完成した分包品が得られます。

すでに散剤、錠剤、水剤にこのようなシステムは存在しています。デメリットは機械やシステムは高額であることと、システムの大きさから物理的な要因で設置が難しい場合もあります。

将来なくなる仕事 ランキングの現状

近年、デジタル技術の進化とAIの普及に伴い、多くの職種が変革の波にさらされています。

特に、ネット上で話題となっている将来なくなる仕事ランキングでは、多くの職種がAIや機械化の影響を受けると予測されています。

その中でも、薬剤師はランキングに入っていることもあり、一部の人々は薬剤師の役割がAIによって置き換えられるのではないかと懸念しています。

10年目薬剤師

薬剤師の仕事は対人の仕事以外は細々とした仕事も多くて、
動いている仕事が多いのです

3年目薬剤師

ランキングの記事を書いている人は、薬剤師の仕事を知らない人じゃないの?

しかし、実際はどうでしょうか?薬剤師の役割は単純な業務だけでなく、患者とのコミュニケーションやアドバイス、専門的な知識を活かした判断が求められるため、完全にAIや機械化に置き換えられるわけではありません。

実際、AI技術を活用した場合、薬剤師の業務効率は向上するとされています。このように、AIや機械化は薬剤師の業務を補完するものとして、より高品質なサービス提供のためのツールとして期待されています。

この動向を受けて、多くの薬剤師は新しい技術の導入や研修を受けることで、自らのスキルセットを向上させ、時代の変化に適応しているのです。

薬剤師がAIに置き換えの可能性

近年のAI技術の進化は目覚ましく、特に医療分野におけるその応用が注目されています。薬剤師の業務の中でも、特に処方箋の確認や薬の相互作用のチェックなどのルーチンワークは、AIのアルゴリズムによって高速かつ正確に行われるようになるでしょう。

管理薬剤師

薬の確認や禁忌、相互作用の確認は確かに薬剤師の重要な仕事ではあるけど、それは仕事の一部であり、それをAIに置き換えても他の仕事はできない

しかし、薬剤師の役割は単なる薬の管理だけではありません。患者とのコミュニケーションや、個別の症状や体質に合わせた薬の選択、そしてその使用方法のアドバイスなど、人間の感性や経験が求められる部分も多いのです。

このような部分は、現在のAI技術ではまだ置き換えることが難しいとされています。

そのため、今後の医療現場では、AIが薬剤師の業務をサポートする形での導入が進められると考えられます。AIによるデータ分析や情報提供と、薬剤師の専門知識や経験を組み合わせることで、より高品質なサービスの提供が期待されています。

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AI技術の進化と薬剤師の将来像

AI技術の進化は、薬剤師の業務や役割に大きな影響を与えることが予想されています。このセクションでは、AI技術の進化と薬剤師の未来についての情報を提供します。

AI導入の現状と薬剤師の展望

日本国内の薬局や病院におけるAIの導入はこれからというのが現状です。

多くの施設では、機械化による薬の調剤や分包、そしてPCの調剤ソフトを利用した情報提供といった業務の効率化が進められています。

私が薬剤師になった25年前と比べても調剤機器も調剤ソフトもかなり優秀になって業務の効率化はなされてきました。

薬剤師社長

具体的には調剤薬局やドラッグストアの調剤室はスペースに限りがあります。以前は病院仕様であった調剤機器が小型化されて導入されやすくなりました。

その一方で、AI技術の進化は薬剤師の業務の質や効率の向上に大きな可能性を秘めています。

例えば、AIを活用した患者の健康データ分析により、より適切な服用指導が可能となると期待されています。

また、AIによる薬の相互作用の予測や、患者の体質や病歴に合わせた最適な薬の提案も実現の道を歩んでいます。

15年目薬剤師

AIが得意としていることは過去データの機械学習だから、個々の患者データから最適な指導が提案ができるかも知れない

このように、AI技術の導入は薬剤師の業務に革命的な変化をもたらす可能性があります。今後の技術進化とともに、薬剤師の役割や業務の質がさらに高まることが期待されています。

AIが得意とする機械学習と薬剤師の知識

AI技術、特に機械学習は、膨大なデータセットからパターンや関連性を学習し、それを基に予測や判断を行う能力を持っています。

この特性は、薬学の分野における知識やデータの処理に非常に適しています。具体的には、発売された薬のデータや、数百万人分の患者データを基に、薬の効果や副作用の予測が可能となります。

このAIの能力と薬剤師の専門的な知識や経験を組み合わせることで、従来の方法では見逃されがちな薬の相互作用や、特定の患者における薬の効果を正確に予測することができるようになります。

このように、AIの機械学習技術と薬剤師の深い知識や経験を組み合わせることで、より安全で効果的な医療サービスの提供が期待されています。

薬剤師の薬の知識とAIの機械学習は非常に相性が良い

3年目薬剤師

つまり上手に使えば味方になり、使えない人はライバルににもなり得るってことかな・・

AIの限界は対人サービス

AI技術は日々進化しており、多くの業務プロセスの効率化や高度化に貢献しています。しかし、人間の感情やニュアンスを完全に理解し、適切に対応することは、現在の技術では難しいとされています。

特に、患者とのコミュニケーションやカウンセリングでは、患者の微細な表情や声のトーン、言葉の選び方などから、背景にある感情や悩みを察知することが求められます。

薬剤師は、患者の不安や疑問を直接的に解消するだけでなく、信頼関係を築くことで、より効果的な治療や服薬指導を行うことができます。患者さんとの信頼関係のパイプ役になるのが、かかりつけ薬剤師という制度です。

患者さんに、かかりつけ医がいるようにかかりつけ薬剤師という制度があります。つまり専属薬剤師です。

10年目薬剤師

私は30名ほどのかかりつけ薬剤師をしていますよ

薬剤師社長

かかりつけ薬剤師は患者さんの服用歴や体調変化を把握することにより、患者さんから信頼を得ているのです。私も5名ほどのかかりつけ薬剤師をしていますが服用薬は記憶しています。

このような人間特有の感受性やコミュニケーション能力は、AIにはまだ再現できない部分であり、薬剤師の存在価値を高めています。今後も、技術の進化とともに、薬剤師の役割やスキルの重要性は増していくことが予想されます。

AIを上手に活用する薬剤師の条件

近年のAI技術の急速な進化は、薬剤師の業務に革命的な変化をもたらしています。

AIを効果的に活用するための条件が薬剤師にとって不可欠となっています。

  1. 基本的なAI知識: AIの基本的な原理や機能を理解することは、その活用の第一歩です。特に、機械学習やディープラーニングの基礎を把握することで、AIの可能性や限界を正確に評価することができます。
  2. 操作スキル: AIツールやソフトウェアの操作方法を習得することで、日常業務にスムーズに取り入れることが可能となります。例えば、電子処方箋の解析や患者データの管理にAIを活用する際の操作方法を習得することは、業務の質を向上させる鍵となります。
  3. 協働の視点: AIは単なるツールではなく、薬剤師との協働を前提とした存在です。そのため、AIとの連携を最大限に活かすための新しいサービスの提供方法や、患者とのコミュニケーションの在り方を模索することが重要です。

著者のAI学習への取り組む理由

AI技術の進展は目覚ましく、その影響は多岐にわたります。私がAI学習に深く取り組む背景には、薬剤師としての役割の進化と、AIの持つ可能性の探求があります。これは医療に限った話ではなく社会全体に言えることでしょうが、世の中は大きく変わると確信しています。

私の学習の中で、AIと薬剤師の協働がもたらすサービスの質の向上についての洞察を得ることができました。例えば、AIを活用した薬物相互作用のチェックシステムは、薬剤師の判断を補完し、患者への安全な薬物提供をサポートしています。その一方で、AIの活用は単なる効率化だけでなく、新しいサービスの創出や、薬剤師の専門性をさらに深化させる可能性も秘めています。

生成AI、特にChatGPTのような技術は、私たちの日常生活や業務におけるコミュニケーションの質を向上させるツールとして注目されています。私自身も、ChatGPTを効果的に活用することで、資料作りや特に要約することに活用しています。AI技術の理解と活用は、薬剤師としての私のキャリアをさらに豊かにし、より高品質なサービスの提供を目指すための鍵となるでしょう。

薬剤師社長

このブログ記事の画像はMidjorneyという画像生成AIを活用しています

まとめ

  • 対人業務はAIには不可能であり、薬剤師の仕事が完全に無くなることはない
  • 薬剤師法により、調剤は薬剤師が必要とされている
  • AIは薬の相互作用を予測し、誤薬のリスクを減らすことができる
  • AI技術は薬剤師の役割を情報提供者から専門的なカウンセリングへとシフトさせる可能性がある
  • AIには新しい薬の効果や副作用、未知の症状に対応する能力が限られている
  • 患者とのコミュニケーションはAIではなく、人間の薬剤師にしかできない
  • 薬剤師の業務の一部はAIや機械化によって効率化されるが、完全に置き換えられるわけではない
  • AIの導入は医療の質の向上に貢献するが、薬剤師の専門知識や人間らしいコミュニケーションは不可欠である
  • 薬剤師は新しい技術の導入や研修を通じてスキルセットを向上させ、時代の変化に適応している
  • AIはルーチンワークを効率化するが、患者個々のニーズに対応するには薬剤師の経験が必要
  • AI技術の進化は薬剤師の業務や役割に大きな影響を与えるが、その限界も存在する
  • 薬剤師の深い知識とAIの機械学習技術を組み合わせることで、より安全で効果的な医療サービスが提供される可能性がある
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